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阪神が効果的な3本のアーチでヤクルトに快勝。夏の長期ロードの勝ち越しを決めた。

東京ヤクルト先発・原 樹理に対する阪神は、1番から糸井・西岡・福留・ロジャース・中谷と並べる超豪華な打線を組んだ。原樹は1・2回を3者凡退で滑り出す。

今季 初回失点が目立つ阪神先発・岩田は、この試合もいきなり坂口・山崎の連打でピンチを背負い、3番バレンティンに左前適時安打を浴びて忽ち1点を献上する。しかし、次の山田を遊ゴロ併殺打に打ち取り、初回を最少失点に留めた。

阪神は3回表  北條・坂本の連打で無死1・2塁とする。岩田はバント失敗(三振)に終わるが、1番 糸井が変化球を打って三遊間突破の同点適時安打。二死後、今度は3番 福留がカウント2-0からの甘い球をものの見事に右中間スタンドへ放り込む15号勝ち越し3ランで阪神が4対1と逆転に成功した。

同点打の糸井嘉男外野手は、「打ったのはスライダー。チャンスの場面だったし、打って同点に追いつくことだけを考えていた」と言う。福留孝介外野手も、「思い切ってスイングした結果、たまたまだけど最高の結果になってくれた」と謙虚に話している。

4回裏 岩田は先頭5番リベロに右越え5号ソロ本塁打を浴びて追い上げられる。その後も自らのボークが絡むなど二死1・3塁とピンチを招くが、1番 坂口の良い当たりは中谷の守備範囲。中飛となって何とか凌いだ。

直後の5回表  先頭1番 糸井が変化球を弾丸ライナーで右翼ポール際へ豪快に運ぶ10号ソロ本塁打を放つ。これで5年連続2ケタ本塁打の糸井嘉男外野手は、「打ったのはスライダー。いい感触で捉える事が出来た」と振り返った。

しかし、 その裏 岩田はバレンティンにスライダーを捉えられて左中間へ27号2ランを浴びて1点差に迫られる。その後、連打を食うなど二死満塁となったところで交代。勝利投手の権利寸前で、藤川にマウンドを譲っている。原樹の代打・中村にカウント3-0と苦しかった藤川だが、3-1から遊飛に打ち取り、大ピンチを脱出している。藤川は6回裏 2番 山崎に16球粘られた挙句 内野安打で生かすが、次のバレンティンの時に三振ゲッツー(坂本が山崎の盗塁を阻止)で嫌な空気を一掃した。

岩田 稔投手は4回2/3(101球)10安打 1三振 3四球 4失点(暴投・ボーク各1)。「先発の仕事が果たせず、チームに迷惑をかけてしまい申し訳ない」と、ひたすら平身低頭だった。

7回表二死  ヤクルト・近藤からロジャースが右前安打。続く5番 中谷はレフトへ15号2ランを運んで、阪神に貴重な追加点をもたらした。「打ったのはチェンジアップ。次の1点が大事だと思っていた中で、いい結果を出すことが出来てよかった」。日々着実に成長を見せる中谷将大外野手が、打って欲しい場面で見事期待に応えてみせた。

これで流れを手繰り寄せた阪神は、必勝リレーに入る。7回 マテオ〜8回 桑原と繋ぎ、最後はドリスが先頭・坂口を内野安打で出したが一死後 バレンティンを遊ゴロ併殺打に打ち取り、阪神が7対4で昨晩サヨナラ負けの雪辱を果たしている。これで阪神は長期ロード5年連続の勝ち越しが確定した。勝ち投手は、好リリーフの藤川が4月6日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)以来の2勝目。ドリスは30セーブに到達している。

ヒーローインタビューは中谷将大外野手。「追加点が欲しい場面だったし、次の1点で試合の流れが変わるところだったので・・。感触も良かったし、入ってくれー!と思いながら走っていた」と声を弾ませる。「甘い球をしっかり捉える事だけを考えた。ミスショットを少なくしたい。投手が頑張っているので、打線で援護したい」気持ちが打たせた本塁打だった。

観客の度肝を抜くような豪快なアーチを描いた糸井嘉男外野手は、「振り抜けて良かった。勝って良かった。(痛めていた脇腹に)怖さはあるけどね」と話した。

「今日の本塁打は、展開上どれも大きかった。(福留の3ランは)久々にスカッとした本塁打」。金本知憲監督は、連日のアーチ競演に口も滑らかだ。「(中谷がミスの翌日にまた活躍したが、失敗した次の試合で)メンタルを作るのは大事や。球児は(5回の)満塁でしっかり行ってくれた。(次の回に)坂本が刺したのが大きいね」。幾つもあった勝因を納得の表情で反芻していた。