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逆転Vへ。高橋の好投と9回の猛攻

今季24試合に登板していた西勇が右肘の違和感により登録抹消。残り試合全勝か、限りなくそれに近い成績が求められる中でローテーションの中心投手を欠くこととなった。代わって昇格したのはルーキーの村上。1軍では悔しさを味わったがウエスタンリーグでは10勝1敗、防御率2.23の好成績で最多勝、最高勝率、防御率の3冠に輝きファーム日本一に大きく貢献した。期待の右腕をブルペン待機させ、リリーフの層を厚くして今季最後の伝統の一戦に臨んだ。

先発の高橋は巨人に対し前回対戦の9月25日の試合では13奪三振の好投でホームを踏ませず、プロ初となる完封勝利を挙げた。大きな経験を積んだ左腕は敵地で再び非の打ち所がない好投を披露した。

初回はアウトローに突き刺さるノビとキレのある150km/hのストレートに巨人の3番・丸は全く手が出ず見逃し三振。2回以降も巨人打線を完璧に抑え4回まで無安打投球を続けた。5回の先頭打者に初安打を浴びたが後続を3者連続三振に仕留め、ピンチすら作らない。後半になっても高橋の勢いは衰えず7回まで1安打3四球11三振で無失点、3塁を踏ませず試合を作った。

高橋の見事な投球に応えたい打線だが、4回に中野の2塁打と近本のセーフティバントで1死1、3塁とするも後続が続かず。5回と8回には貴重な走者がつり出され、攻撃のリズムを潰してしまう。

0-0のまま迎えた8回は安定感を取り戻した岩崎がきっちり3人で抑える。9回の攻撃は2番からの好打順。中野がレフト前に弾き返すと近本の叩きつけた打球は内野安打に。俊足コンビの活躍で無死1、2塁と大きなチャンスを作った。マルテと糸原は倒れてしまうが崖っぷちでも諦めない。板山の放った打球はライトフェンス上部を直撃、あとわずかで柵越えとなる適時2塁打を放ち、ついに試合の均衡を破る。

「高橋が頑張って投げていたので何とか点を取ってあげたいという気持ちで打席に向かいました。必死に食らいつくことだけ考えてました」

この一打で先制すると2死2、3塁から木浪がレフト線へ2点適時打を放って巨人を突き放す。最後は3連投のスアレスが締めて緊迫した投手戦を競り勝った。

勝負の関東遠征で5勝3敗1分と勝ち越し、日曜日からは甲子園での5連戦に臨む。矢野監督は「追い込まれた状況ですけど、諦めることもちろんないですし、全員で今日みたいな戦いを甲子園帰ってもやっていきます」と宣言。奇跡の逆転優勝へ、一戦必勝の試合が続く。