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尻上がりの好投

アーチの応酬となった序盤の荒れた展開を中盤以降沈めた右腕の好投で、阪神が連勝を飾った。

阪神は前夜の試合で左足を痛めた西岡 剛内野手が登録抹消(左足踵の軽い打撲)。代わりに2年目の板山祐太郎外野手が今季初昇格(試合途中で合流)となった。

初回 阪神はヤクルト先発・ルーキー星の立ち上がりを攻め、2番 上本のバントヒットから二死2塁として直球を捉えた4番ロジャースの中前適時安打で先制する。「力を抜いてセンター返しを心掛けていたよ。先行だったし、初回に点を取れればゲームの流れを先に掴めると思っていた。走者を返すとバッティングが出来て良かったね」。ジェイソン・ロジャース内野手は、機嫌よく先制打を振り返った。

だが、その裏  阪神先発・秋山も坂口・バレンティンのヒットから一死1・2塁とされて4番 山田は遊ゴロに打ち取るが、併殺を狙ったセカンド上本の悪送球ですぐに追いつかれる。

2回表 先頭6番 鳥谷はライトへ3号ソロ本塁打を放ち、阪神が再びリードを奪う。2000安打にあと11本とした鳥谷 敬内野手は、「イニングの先頭だったので、まずは塁に出ようという意識で打席に入った。(直球を)しっかりと捉える事が出来た。点を取られた後、こうしてすぐに取り返すことが出来て良かった」と話した。

3回表  阪神は糸井の右二塁打などで一死1・3塁。ロジャースはフォークボールを空振りして三振に倒れるが、5番 中谷がボール1からの変化球を打ち返してレフトへ16号3ランをお見舞いする。 「打ったのはスライダー。甘いボールを一発で仕留める事が出来た」。3試合連続本塁打の中谷将大外野手は、コメントにも貫禄が漂い始めた。

その裏  秋山は二死1塁から3番バレンティンにカウント2-1からの甘いスライダーを狙い打たれレフトスタンド中段まで届く28号2ランを浴びて5対3と追い上げられる。序盤は球の走り・キレとも今ひとつで、いつも以上に慎重な投球が必要だった。

それでも、打線が援護する。4回表二死1・2塁から2番 上本の中前適時安打で阪神は追加点をあげる。「とにかくバットに当てて食らいついていく気持ちだけ」で上本博紀内野手が初回守備のミスを挽回した。

 セットポジションの投球に変えた秋山は、中盤以降見事に立ち直って5回から8回まで完璧に東京ヤクルト打線を封じ込む。完投勝利の期待もあったが、最後はドリスに任せて 6対3と阪神が押し切った。秋山は7月から5連勝で今季11時目。ドリスは2夜連続の31セーブをマークした。首位広島が横浜で3戦連続サヨナラ負けを喫した為にゲーム差は6・5となり マジックは消えて、阪神に自力優勝の可能性が復活している。

この神宮3連戦はアーチ合戦となったが、勝ち越しソロの鳥谷 敬内野手は、「まぐれ、まぐれ。狙って打てるなら、もっと打ててる」と照れ気味。「あの球は上手く反応して、イイ感じで打てた」・・・中谷将大外野手は、会心の一発に自画自賛だ。

8回(92球)5安打6三振 無四球 3失点の秋山拓巳投手がヒーローインタビューに答える。「立ち上がりはどうなるかな?という内容にしてしまったけど(野手に)早めに援護してもらったので、ここで頑張らないと!と言う気持ちで強く投げる事が出来た。(中継ぎに負担がかかる試合が続いているので)ホントは1人で投げ切りたかったけど、1つでも多くアウトを取る事を意識して試合に臨んだ。(5〜8回は完璧だったが)尻上がりに調子も上がって来たし、この時期 頑張る為に春から頑張って来たので、踏ん張れて良かった」。

「(秋山は立ち上がり)球の走りが悪く、変化球もどうかな?と思っていた。途中からセットにして良くなったのかな?(9回は)かなり迷ったけど、走者出してからドリス(に代える)よりは良いと・・」。金本知憲監督は、3試合連続アーチの若き大砲にも注文をつける。「(中谷は本塁打を打った)その後の速い球を仕留めないと。(打ってるのは)変化球ばかりでしょ。内側に速い球がどんどん来て、外が打てなくなるのが、野球界の定石」であり、そこを乗り越えないと真の長距離砲には成れない。ここまで成長したからこその更なる飛躍を期待する。

就任以来、最多の貯金13となったが、「月間3つ(勝ち越し)を目標にしている。今月はまだ(試合が)残っているので(この貯金を)守れるようにしたい」と話していた。