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燕猛追にヒヤリ!辛勝

初回先制から中盤まで得点を重ね、先発右腕の安定した投球もあって優位に試合を進めた阪神だが、終盤ヤクルトの一発攻勢による猛追を受けて苦しんだ末に何とか逃げ切った。

東京ヤクルトは、新外国人右腕・クックが来日初先発。阪神は前夜と同じ打線の並びで挑む。190㎝ 長身のクックは、動くボールで打たせて取る投球。初回は内野ゴロで簡単に二死を取るが、糸井・サンズに連続四死球を与え1・2塁となる。ここで5番 大山が右中間への12号3ランを放ち、阪神が先制に成功した。「(ストレートを)しっかり強く打つ事が出来た」。大山悠輔内野手が、手応えを口にしている。

阪神先発・西 勇に対するヤクルトは2番 山田哲、5番 西浦。7番には19歳の若い濱田を配する。初回一死から山田哲に中前安打で出塁を許した西 だが、青木・村上を抑える上々のスタートを切った。紙一重の甘い球もあるが、緩急を駆使した投球でアウトを重ねて行く。

クックも2回以降はテンポの良い本来の投球で立ち直りの兆しを見せていたが、4回表二死から木浪に右前安打を許した後 9番 西に右中間適時二塁打を浴びると、続く近本に左中間適時三塁打。2番 上本にもライト線適時二塁打と立て続けに痛打されてしまう。クックは4回(70球)7安打2三振2四死球6失点で降板となった。嵌れば抜群な投球をする長所と突如崩れる弱点。両面を露呈する内容だった。

阪神にとっては初回と同じく二死からの効果的な得点となり、理想的な展開だ。直球を仕留めた適時三塁打の近本光司外野手が振り返る。「西さんが打ってくれたので、それに続く事が出来た。西さんの援護が出来て良かった」。

その裏 西は一死から青木・村上に連続四球を与えピンチとなるが、5番 西浦をチェンジアップで空振り三振。続くエスコバーの打席で走者・青木が三盗を狙うも失敗に終わり、ここも無失点で凌いだ。ヤクルトはベテランの闘志が不発に終わり、上手く歯車が噛み合わない。

5回表 ヤクルト2人目・今野を攻める阪神は、サンズ・大山の長短打で無死1・3塁として、一死後7番ボーア・一ゴロ併殺崩れの間に 追加点を入れ、7対0とリードを広げる。

6回裏から阪神は上本・糸井のベテランに代えてライト高山。そして、高卒2年目・小幡がセカンドの守備に就いて一軍初出場を果たした。西は緩急自在の投球で2回以降ヒットを許さなかったが、7回裏4番 村上に内角変化球を痛打されてライトスタンドへ10号ソロ本塁打を浴びて、遂に失点。西はこの回限りで交代。7回(116球)3安打6三振2四球1失点だった。

8回表 阪神二死2塁で19歳・小幡にプロ初打席が回る。3人目・風張に対して空振り・ファールの後3球目を打って投ゴロに倒れるも、鼻骨骨折後に装着したフェイスガード姿での記念すべきデビューとなった。その裏 阪神2人目・尾仲は代打・川端のヒットから一死満塁とされて、岩貞と交代する。ここで岩貞は、3番 青木にライトへ弾丸ライナーの9号満塁本塁打を浴びて、一気に2点差とされてしまう。楽勝ムードが一転した阪神は、二死後ガンケルを投入。四球・ヒットで1・2塁とされたが、7番 濱田を変化球で空振り三振に仕留める。

9回裏は守護神・スアレスが登板する。先頭・途中出場の山崎に右前安打を許し、川端はフォークで空振り三振を取るも、1番 坂口・四球で一死1・2塁。一発逆転サヨナラの窮地に雨脚が強くなる中、スアレスは山田哲をフルカウントから外角低めの速球で空振り三振に斬る。最後は前打席本塁打・青木の打球は雨風に押し戻されての中飛となって、7対5で辛うじて逃げ切った。

開幕直後(6月25日)に神宮で逆転サヨナラ負けを喫している。その悪夢が脳裏をよぎった。もっと楽なカタチで勝ちたかった阪神だが、本当は休ませたかった救援陣を投入する羽目になり、ベンチには大きな誤算だった。投手リレーの隙を突かれてあわやの展開となった事は、今後の教訓にしなくてはなるまい。

初回から全て先頭打者を打ち取って4勝目をあげた西 勇輝投手がヒーローインタビューに答える。「無事に勝てて良かったなと思う。外が暑いので、しっかり水分補給を摂りながら、丁寧に投げて行った。状態は本当に凄く悪くて、梅野のリードがあっての結果だと思う。捕手に感謝したい。(4回表に適時打を放った時は)走らなアカンな!と思ってました(笑)」。

この試合で一軍デビューを果たした 小幡竜平内野手は、「(前日昇格して試合中に十分イメージが出来ていたので)終盤のピンチは、やはり緊張したけど、思っていたよりは平常心でプレーする事が出来た。(首脳陣や先輩から)『思い切ってやれ』と言って頂いたので、思い切ってプレーする事が出来たし、これからも失敗を恐れずに思い切って」挑戦し続けるフレッシュな決意を示していた。