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春季キャンプコラム

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2023.02.08
レジェンドの極意
2月4日(土)~2月7日(火)第2クール

赤星臨時コーチによる走塁改革に、サインプレーや連係プレーの練習にも力が入った第2クール。岡田野球が、チームに浸透し始めた。

質向上へ走塁改革

第2クール初日の4日(土)、臨時コーチとして招かれた球OBの赤星憲広氏が、宜野座で指導を開始。5年連続盗塁王、通算381盗塁を誇るレジェンドが、走塁の極意を伝授した。

午前中に野手全員で行ったベースランニングでは、相手に脅威を与えるため、「走塁練習でも実戦の意識を」と意識改革を要求。オーバーランの重要性も説いた。その後は左バッターの近本、中野、島田、植田、小幡を集め、岡田彰布監督の発案で、トスを「引っ張り」と「走り打ち」で打ち返して一塁までの走塁タイムを計測。比較すると「走り打ち」のほうが0.3~0.4秒速く、岡田監督は「追い込まれて左対左で難しいボールが来て、ちょんと走り打ちでセーフやったらチームにプラスやし、打率も上がる」と状況に応じた内野安打打法を促した。

午後からは、近本、中野ら俊足選手を個別指導。ヘッドスライディングではなく「足からの帰塁」が、「ケガの防止と、相手捕手に盗塁を察しづらくさせる」と赤星氏は説明し、近本光司外野手は「足で帰れたほうがしんどくないので、うまく使いたいなと思う」とうなずいていた。

盗塁の練習で、「スタートする時に伸び上がってしまって、初速のスピードが出ない」と赤星氏から指摘されたという中野拓夢内野手は、「スタートの足の幅の広さや、浮き上がらないことを意識しながら練習した。スタートの姿勢を変えようと思っているし、左足でスタートを切っていたが右足で切ったほうが走りやすいんじゃないかと言われたので、その辺も意識しながら、キャンプでいろいろ試していければ」と貪欲な姿勢。「丁寧にわかりやすく教えていただいたので、しっかり練習して、自分のモノにできるようにしたい」と、2年ぶりの盗塁王奪還へ力を込めた。

指揮官に猛アピール

5日(日)、岡田監督がうるま市の具志川野球場を初めて訪れ、ファームのキャンプを視察した。

指揮官に見守られながら、ドラフト1位ルーキー森下翔太外野手(中央大)がフリー打撃を行い、78スイングで15本の柵越え。広角に打ち分ける技術とパワーを披露し、岡田監督も「見てのとおりやね。良かったんじゃないかな」と目を細めた。

「そこまでいい出来ではなかった」という森下だが、「打球はしっかり飛んでくれていたので、パワーアップしていると感じた。逆方向の長打力が持ち味なので、その部分、尚且つ低めや高めも大振りにならずにうまくヒットにできるところをアピールできたと思う」と手応えも。右足の肉離れで別メニュー調整中だが、「順調に回復しているので、焦らず頑張っていきたい」と表情は明るい。

岡田監督は「ケガがあってちょっと出遅れたけど、あと10日ぐらいで一軍に合流できれば十分取り返せる」と見通しを語り、森下も「自分にできることを精一杯やってアピールして、開幕スタメンでいけたら最高かなと思っているので、そこに向けて頑張りたい」と目標を定めた。

打者が嫌がるストレートを

6日(月)は、朝から激しい雨。予定されていたシート打撃は中止となったが、宜野座ドーム内で、前日ミスが目立った連係プレーの練習に取り組んだ。

ブルペンでは、伊藤将司投手が今キャンプ最多の102球を投げ込んだ。「ガンでは表示できないような、バッターが嫌がるストレートを投げられたら」と「ストレートの強さ」をキャンプのテーマに掲げ、「あまり力感なく投げて、いい球がいっているので、成果が出ているんじゃないか」とオフのウエートトレーニングの効果を実感。左バッターの内角高めへの投球も意識し、「左と左だったら、そこの高さが一番打ちにくいかなと思う。去年、左との相性がそんなに良くなかったので」と、左封じにも意欲を示した。

3年目のシーズンへ、「2桁勝利はもちろん、2年連続規定投球回数が達成できていないので今年は達成できるように」と意気込んだ左腕。「やっぱり先発やっている以上は、やりたいという気持ちは強い」と、開幕投手にも名乗りを挙げた。

赤星臨時コーチが、3日間の指導を終了した。前日は具志川のファーム選手にイズムを注入し、最終日のこの日は宜野座で投手陣を指導。赤星塾を終え、「盗塁数は4年連続リーグトップだが、1点を取るためにどうすればいいか、スタートの切り方や走塁の仕方をアドバイスできたと思う」と振り返り、「基礎はある程度できたので、あとは実戦で試してみてほしい」と選手たちの背中を押した。

あいさつ代わりのアベックアーチ

第2クール最終日の7日(火)には、チーム初実戦となるシート打撃が行われた。

新外国人選手のシェルドン・ノイジー外野手とヨハン・ミエセス外野手も参加し、2打席目で2者連続アーチ。宜野座のスタンドを沸かせた。

まずはノイジーだ。2-1からの4球目、桐敷の146キロ直球を完璧に捉えた豪快な一発は、左中間スタンドへ。どよめきが起こる中、続くミエセスも1-2から148キロ直球を弾き返し、弾丸ライナーはレフトポール際に突き刺さった。

「初めての実戦で高めのボールをしっかり打つことができたので良かった。初日に打てたことは嬉しいが、今日だけじゃなく、シーズン途中も最後の日も、自分のバッティングができるようにやっていきたい」とノイジーが語れば、ミエセスも「感触は良かった。試合を熱望していたので、そういう意味では結果が出たのは良かったが、シーズンに向けてのほうが大事だと思っている」と冷静。来日間もないが、「みんなのエネルギーを感じるし、自分もそこに乗れるように、チームとしてキャンプ最後までこの雰囲気を持っていけたら(ノイジー)」「まだ言葉もわからないし名前もわからない中で、みんな積極的に話しかけてくれて雰囲気がいい(ミエセス)」と、早くもチームに馴染んでいる様子を窺わせた。

初実戦でギアの上がった第2クールから、一、二軍合同紅白戦が行われる第3クールへ。熾烈なポジション争いが、いよいよ始まる。