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春季キャンプコラム

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2023.02.17
打線爆発、白星スタート
2月14日(火)~2月16日(木)第4クール

初の対外試合が行われた第4クール。ポジション獲りを懸けて活気づいた打線が、大勝をもたらした。

ベールを脱いだ新助っ人

14日(火)、第4クールがスタートした。練習開始時には、この日から一軍キャンプに合流したジェリー・サンズ駐米スカウトが円陣で挨拶。2020年から2年間阪神に在籍し、通算39本塁打をマークしたサンズ氏は、ナインとの再会を喜び、新外国人選手たちのサポートを約束した。

ランチ特打では、ブライアン・ケラー投手、岩貞祐太投手、浜地真澄投手が打撃投手として登板。島田、原口、板山を相手に、今キャンプ初めて打者との対戦に臨んだ。

新助っ人のB・ケラーは、打者計4人で安打性1本、1四球。カットボールやスライダーなど変化球も交え23球を投じ、見守った岡田彰布監督は「思ったより良かった」と感想を口にした。先発に再転向する岩貞は、先頭の原口に一発を浴びたものの、計8人に20球を投げ、安打性は2本。先発をする上での鍵と捉えているチェンジアップについて、「3球投げて3球ともコースにいって、バッターのタイミングを外せた」と納得の様子だった。打者計6人に対し、21球で安打性は1本、1四球、最速147キロを計測した浜地も、順調な調整ぶりを示している。

過熱する右翼争い

15日(水)、今年初の対外試合となる楽天との練習試合(金武)で、14安打16得点と打線が爆発。16-1と大勝し、幸先の良いスタートを切った。

3安打4打点、3打席連続タイムリーと勝負強さを発揮したのは、「5番・三塁」で先発出場の佐藤輝明内野手だ。好結果にも、「あまり芯で捉えられなかったので、もう少し内容を良くしていきたい」と表情は緩めず。「しっかりランナーを還せるようにやっていきたい」と、中軸としての自覚を見せた。

原口文仁内野手は初回、センターへ2ラン。12日(日)の紅白戦、前日のフリー打撃に続く「3戦連発」に、岡田監督も「よう打つな。風関係なしに、打った瞬間いったと思った」と舌を巻いた。7回には、井上広大外野手からも豪快な一発が飛び出した。1死一、二塁に代打で登場すると、藤井聖の初球を完璧に捉え、レフトの防球ネットを突き刺す特大の3ラン。ライトのポジション獲りへ、持ち味のパワーでアピールした。

右翼争いに、髙山俊外野手も黙っていない。マルチ安打をマークし、指揮官から「昨日の特打も良かったし、ゲームで結果が出たら気持ち的にも違うと思う」と高評価。板山祐太郎外野手も先制打を含む3打点と気を吐き、岡田監督は「練習でもいい感じで打っているし、それが試合でもいい形で結果が出る。ええんやもん、使わなしょうがない」と嬉しい悲鳴だ。

開幕ライトを狙うドラフト1位ルーキーの森下翔太外野手も、この日から一軍に帯同。6回からライトの守備に就き、7回2死の打席では好守備に阻まれショートゴロに倒れたものの、右足肉離れの影響を感じさせない全力疾走を見せた。

投手陣は、若手5人で1失点リレー。先発を務めた桐敷拓馬投手は、2回に田中和に本塁打を許したが、3回2安打1失点の好投で「無駄なフォアボールが多かったのでそこは反省点だが、フォークは腕を振れて投げられていたし三振も取れた。ツーシームもゴロアウトが取れたので良かった」とうなずいていた。

世界一を目指す戦いへ

WBC日本代表に選出されている中野拓夢内野手と湯浅京己投手が、17日(金)からの侍ジャパン強化合宿(宮崎)に参加するため、15日(水)でキャンプを打ち上げた。

この日の楽天との練習試合に、中野は「2番・二塁」で先発出場。2安打を放ち、対外試合初のセカンドの守備では、センターへ抜けそうな打球をダイビングキャッチし二塁送球アウトにする美技を披露した。

「打席では追い込まれても自分のスイングができたし、変化球を意識しながら真っすぐに対応することもできた。守備も、セカンドに慣れることがこのキャンプの課題だったので、2週間やってきたことが今日は出せた」と手応え十分。「WBCではどういう起用になるかわからないが、自分が任されたポジションでしっかり自分の仕事をできれば日本の力になれると思うので、アピールポイントであるスピードを生かせるように頑張りたい。世界一を獲って帰ってきます」と意気込んだ。

湯浅は、2番手として4回から実戦初登板。WBC球の使用で制球に苦しみながらも、1イニングを1安打無失点と楽天打線を抑えた。

「まだ抜けるボールはあるが、全体的に感覚良く投げられるボールが増えている。フォアボールを出したことは課題だが、クイックでも投げられたのは良かった」と収穫を口にし、「すごく充実した2週間が過ごせた。WBCでは一流のバッターを抑えられるように、世界一めざして頑張りたい」と頂点を見据えた。

大器の片鱗

第4クール最終日の16日(木)、ランチ特打のフリー打撃に森下が参加し、7打席で4安打と快音を響かせた。

青柳の112キロ変化球をレフト線二塁打とし、伊藤将からは左前打と右前打を。K・ケラーの153キロ真っすぐは右中間二塁打と、主力投手に対し堂々のバッティング。直球に振り負けることなく、変化球にも対応し、広角に打ち分ける技術も見せて、大器の片鱗を覗かせた。

前日から一軍に帯同している高卒2年目・中川勇斗捕手と共に、この日は高卒4年目の藤田健斗捕手が一軍に合流。代わって、榮枝裕貴捕手が、宜野座組の熊谷、植田、井上とファームの練習試合(対中日・読谷)に出場した。

榮枝は先発マスクを被り、5回には左中間へ2ラン。梅野、坂本に続く若手捕手の台頭を望む岡田監督の期待に応えるべく、キャッチャー陣も火花を散らす。

チーム内競争が激化する中、キャンプは対外試合2試合が組まれている第5クールへ。ヒートアップするアピール合戦から、目が離せない。