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春季キャンプコラム

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2024.02.05
連覇、連覇!時々アレンパ!
2月1日(木)~2月4日(日)第1クール

日本一のペナントが翻る青空の下、2024年の球春を迎えた猛虎たち。素晴らしいスタートとなった沖縄キャンプ第1クールを振り返る。

昨年よりも勝ちたい

1月31日(水)岡田監督ら首脳陣が空路沖縄入り。恩納村の宿舎でキャンプ前日の全体ミーティングを行った。猛虎ナインを前に今季に懸ける熱い思いをぶつける。方々からお声がけがあって多忙なオフとなった事も勝者の宿命と受け止めた上で、勝ち方を知り地力をつけたチームへの信頼感から「オレ、昨年よりも今年の方が勝ちたいよね」という素直な気持ちを述べた。「勝てるチームになったから余計勝ちたいよね、ハッキリ言うて」。その上で、キャンプでは「頑張りすぎない」で「普通にやる」事を求め、「長いシーズンを乗り切る身体」を作ろうと呼びかけている。

暑いですね!沖縄

2月1日(木)南国の太陽が輝く一軍キャンプ地『バイトするならエントリー宜野座スタジアム』(国頭郡宜野座村)でスプリングトレーニングがスタートした。
宜野座ドームでウォーミングアップを終えた猛虎ナインは、沿道を埋めたファンに手を振りながらミニVパレードで歓迎セレモニーが行われるメイングラウンドへと移動する。38年ぶりの日本一になったからこその華やかな登場だ。

昨年は挨拶で『アレ』を9回も口にした岡田彰布監督は、「今年はアレを言わずに連覇!連覇を第1目標にして一年間戦って行きたい。佐藤輝が良い言葉『アレンパ』と言ったんで、たまにアレンパも言いますね」とファンの前で挨拶を行った。

初日のブルペンに一番乗りしたのは、エース復活を目指す青柳だった。変化球を交えて27球を投じる。昨季MVPの村上は、予定通り50球を投げ込んだ。新人で唯一宜野座組の椎葉は、捕手・坂本を相手に投球。一線級の投手が並ぶプルペンに心を躍らせながらのキャンプデビューとなった。

この日は気温25℃(キャンプ初日の20℃超えは初めて)。サブグラウンドでの個別練習では、指揮官から守備力強化を厳命されている佐藤輝が馬場コーチのノックを受け続ける。居残り特守を終えた 佐藤輝明内野手は「暑いですね、沖縄」「暑かった」と茶化しつつも、「きつかった」と本音もチラリ。「しっかり足を使って守りたいと思う」。チーム最多20失策だった守備力向上がサードの定位置死守への絶対条件だ。渡米しての動作解析から改造中の打撃にも手応えを感じている事もあって、やる気をみなぎらせていた。

熱きレッドの極意

2日(金)キャンプ2日目。侍ジャパンの井端弘和監督が宜野座へ視察に訪れた。最初に阪神を選んだのは、昨季日本一の縁起を担いでとの事。岡田監督との会話でも、選手の自信がテーマに上がったようだ。11月のプレミア12へ向けた人選にも当然複数の候補が上がる。昨季召集した佐藤輝・森下らに加えて、2年目のホープ・門別にも熱視線を送っていた。

共同インタビューに答えたのは、2年目の森下翔太外野手。昨年は故障で具志川組からのスタートだっただけに「まず一番は、怪我なくキャンプを乗り切りたい」思いが強い。これまで小指に力が入っていた握りを、重点的に中指・薬指で持つようにするなどして、なるべく無駄な動きのない打撃をすることに加えて、守備走塁面にも力を注ぐ。コンタクト率を上げる事で岡田監督も期待を寄せる『打率3割』が近づくのは勿論だが、長い目で見て「毎年キャリアハイを残せるような選手」になる為、日々の積み重ねを大事にしていく姿勢を示していた。日本代表の井端監督が惚れ込む勝負強さを意識して、世界に通用する選手へ飛躍する意欲も十分だ。

3日(土)好天続きの沖縄で節分を迎えた猛虎ナイン。この日から投内連係がメニューに加わる。門別らの軽快な動きに首脳陣も満足そうな様子。昨年に続いてOBのV戦士・赤星憲広さんが臨時コーチとして指導にあたった。「昨年よりも得点を取るには、(如何にヒット)1本で返って来られるか?が今のチームの一番のポイント」にあげて、選手の引き出しを少しでも増やす事が出来るように鋭く目を光らせる。個別練習でも熊谷・植田・小幡らに盗塁スタートの極意を伝授。中でも、指揮官から強化指令があった森下に関しては、「不器用・・全てにおいてガツガツ力が入ったりする」悪癖をなくし、本来のスピードを生かすように前傾姿勢を崩さないように走る事を伝えたりしている。

一番良いスタート

4日(日)立春は、キャンプ初の日曜日。杉山健博オーナーが訪問し、宜野座ドームで練習前のナインを激励した。他球団が目の色を変え打倒阪神に燃える中「連覇というのは、口で言うほど簡単ではない」として、①個々のレベルアップ ②新しい戦力の台頭を連覇へのポイントにあげる。そして、指揮官の勝ちたい気持ちを全員で共有して『持続的に強いタイガースの基礎作り』に励むようにと訓示を述べた。

具志川では、赤星臨時コーチが高校生ルーキー山田・百﨑をはじめ若虎たちに熱い走塁指導。改装して全面屋根付きになったプルペンでは、トミージョン手術からの一軍復帰を目指す髙橋の傍らで岩崎・岩貞のベテランが投げる豪華な左腕3ショットも見る事が出来た。

クール最終日という事もあって、宜野座ではメニュー終了後に地元の少年少女を対象に野球教室が開かれ、前川の挨拶に始まって猛虎ナインが指導しながら笑顔でふれあいの時間を楽しんだ。

「殆ど4日間メニュー通りに出来たんでね、本当に一番良いスタートを切れたと思うけどね」。岡田彰布監督は、第1クールを満足そうに振り返る。「本当忙しいオフだったけど、2月に合わせてみんな自主トレをしっかりやって来たと思う」。秋季キャンプから見出した門別・茨木・野口といった成長株については、今後予定している実戦で結果を出してほしい思いの一方で、具志川で鍛える他の若虎やベテラン勢も虎視眈々とチャンスを伺って「こちらに上がって来るのを待っている」として、内なる戦いの激化を歓迎していた。そういう意味で、「まだ第1クールだけど、昨年以上の手応えというか、そういうのはありますね」と柔和な表情で語った。