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キャプテンの一振りで連敗ストップ

これぞ、キャプテンだ。苦しいときにチームを救ってくれる。きょう負ければ7連敗。甲子園未勝利のまま再び遠征に出なければならない状況を、鳥谷のバットが打破してくれた。

連敗中は一度もなかった先制点を、2回に奪った。先頭・福留が二塁打でチャンスを作り、一死後、今季初スタメンの藤井がヒットでつないで一、三塁。藤浪の犠飛で1点を先制すると、一番に入った西岡の三塁ベースに当たるラッキーな適時打で2点目をもぎ取った。

新オーダーとメンバーの入れ替えがズバリ当たった得点に、スタンドは大いに沸いたが、藤浪が5回に追い付かれ、6回に勝ち越しを許す。しかも、勝ち越し点を献上したのは西岡の悪送球。イヤなムードが球場を包んだ。

しかし、1点を追う8回、ドラマが待っていた。代打・新井良が四球を選んで出塁すると、三番・鳥谷が2-1からの直球をとらえて右翼スタンドへ。逆転2ランだ! ベンチ前で迎える笑顔のナインたち。中でも大喜びだったのは、自らのエラーで勝ち越しを許した西岡だった。

「救われました。トリさんの一振りで、チーム全員が救われたと思います」

鳥谷自身が「打った感じは行ったと思った」という手応え十分の今季第1号により、チームは長いトンネルを抜け出した。

「ランナーを進めるというか、引っ張りたいなというのはありました。遠征に出ますし、何とか1つ勝ちたいと、試合前に話していた。連敗を止めたことが次につながると思います」

昨年11月、日本シリーズ終了後に海外FA権を行使した。鳥谷流出となれば、大きな戦力ダウンは免れなかったが、1月になって残留を発表。外国人やFA選手など目立った補強のなかったチームにとって、「最大の補強」と言われた残留だった。5年契約を結んだことで、「生涯虎」が確実となった鳥谷。そのありがたみを、きょう改めて感じたファンも多かったはずだ。

火曜日からはナゴヤドームで中日と戦う。今は上位にいるが、阪神にとっては開幕カードで3タテした相手だ。ここから連勝街道に入りたい。