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黒田に沈黙

先発左腕が大量点を失い序盤から完全に主導権を奪われた阪神が、為す術なく押し切られた。

日米通算200勝に王手をかけ足踏みが続く広島先発・黒田に対して、阪神は今季初めて緒方をスタメン1番で起用する。初回 その緒方のヒットから二死1・2塁の先制機を作るが、5番ゴメスはバットを折られ遊ゴロに倒れた。

阪神先発・岩崎は、いきなり田中・菊池に連続四球を与える不安な立ち上がりから一死後4番ルナにはレフトへ3号3ランを浴びて初回に重い先取点を献上する。3回には走者を背負い3番 丸に高めの変化球を左中間最深部へ適時三塁打を運ばれる。更にルナ・死球のあと5番 新井にも左前適時安打を浴びて5点目を奪われたところで降板となった。

代わった松田も鈴木・石原に適時安打を許して、広島に大量点を奪われる。先発・岩崎は2回0/3(55球)6安打0三振3四死球7失点と散々な数字が残った。(降板後、岩崎は右足の違和感を訴え病院へ向かう)

初回はやや不安な要素もあった黒田だが、打線の強力援護を受けて  その後も何度か回の先頭打者を出すも、コースにきっちり投げ分ける引き出し豊富な芸術的投球で猛虎打線を手玉に取って行く。6回表には二死から福留・ゴメスが連打を放ち意地を見せるが、6番 鳥谷は絶妙な内角球に見逃し三振に倒れている。黒田は7回( 115球)を5安打 9三振 3四死球 無失点で投げ終えて、後をリリーフ陣に託した。

苦しい状況の中で5回から登板した阪神3人目の島本は、若者らしい向かって行く投球で2イニングをしっかり無安打無失点に抑えた。また、途中からマスクを被ったルーキー坂本が、7回表に偉大な投手・黒田からセンター前に記念すべきプロ初安打を放った事も一筋の光明である。(坂本は9回表にも一岡から中前安打を放つ)

大勢が決した展開でも、阪神8回のマウンドには中9日で藤川が登板。オールスター明けは勝ちパターンの投手を投入出来ていないチームの窮状を象徴する起用でもあった。広島は今村・一岡で8〜9回を締めて、7対0と黒田の日米通算200勝を完封リレーで飾っている。阪神は、オールスター明け未だ白星なしの5連敗だ。

日米通算200勝は、野茂英雄投手以来 史上2人目となる。「あまり実感が湧かない。(本当に)そこまで勝てたのかな?と。最高のチームメイトと最高のファンの前で節目の勝利をあげる事が出来て、自分自身感動している」。偉業を達成した黒田博樹投手は、日米で支えてくれた色んな人たちへの感謝を込めて、このように喜びを表現していた。

これで古巣広島に9連敗。金本知憲監督は、やるせない気持ちを語る。「打席での選手の姿を見ていると(心から)悔しいと思っているのかな?と・・・。覇気とか向かって行く姿勢が感じられない。(中には、そういう選手もいるけれど)そういうモノが出て来ないようなら、このチームは(何年経っても)変わって行かない」。強い口調で、気持ちが伝わって来ない猛虎戦士達の奮起を促していた。