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藤浪暗転!悔しさ一敗

今季猛虎の命運を担う右腕が、進化と課題の混雑する投球で勝ちパターンの展開をフイにした。

開幕白星発進の阪神は、苦手の巨人先発左腕・田口に対して俊介・上本で1・2番を組む打線で臨む。初回一死から上本が左前安打で出塁するも牽制アウト。しかし、直後に3番 糸井が変化球に泳ぎながらもライトスタンドまで運ぶ1号ソロ本塁打を放ち、阪神が先手を取った。

「打ったのはチェンジアップ。まず1点先制する事が出来て良かった。まだ始まったばかりなのでここからも集中して行きます!」。先制アーチの糸井嘉男外野手がコメントに気合いを込める。

阪神先発・藤浪は立ち上がり、陽岱鋼を遊ゴロに打ち取るも一塁手・ロサリオが捕球を誤る失策で先頭打者の出塁を許す。その後、走者を3塁まで進められたが、4番ゲレーロを中飛に抑えて事無きを得た。2回裏にも一死後 岡本のヒットと連続四球で満塁のピンチを招いたが、後続を凡打に退ける。

3回表 阪神は上本の中越え二塁打と四球で一死1・2塁として4番ロサリオが左前へ、続く福留も右前へ連続適時安打を放つ。二走ロサリオが牽制死を食らうが、6番大山も右中間へ適時二塁打。走者・福留が長駆生還し、この回鮮やかに3点を加えた。

「相手の得意な球(スライダー)だったので、ある程度頭に入れて打つ事が出来た」。2試合連続タイムリーのウィリン・ロサリオ内野手が振り返れば、福留孝介外野手は「いい流れだったので繋ぐ意識で打ちに行った。追加点を取ることができて良かった」とコメント。さらに大山悠輔内野手も次のように話す。「打ったのはストレート。流れを切らさないように、集中力を持って狙い球を捉えることが出来た」。

4点と序盤で大きな援護を受けた藤浪だが、その裏 連続四球からピンチを背負い、二死2・3塁から6番 岡本に変化球を打たれて中前適時安打。巨人に2点を返された。それでも5回まではリードを保っていたが、6回裏先頭 岡本にこの日3本目のヒットを許すと制球が乱れ連続四球で無死満塁。絶体絶命となって、ベンチは岩崎へとスイッチした。代わった岩崎は、代打・阿部に押し出し四球。陽岱鋼・吉川尚は空振り三振に斬ったが、3番 坂本に中前適時安打を浴びて同点とされてしまった。

「今日の投球は良い時と悪い時のボールがハッキリしてしまった。野手の方が先に点を取ってくれて守備でも助けてもらったのに、粘ることが出来ずに申し訳ない」。5回0/3(104球)6安打4三振 5四球4失点で降板した藤浪晋太郎投手は、悔しさを隠さない。素晴らしい部分と課題が混雑する内容だった。

7回からは両軍必勝リレー。巨人・澤村が表を抑えたその裏、阪神・桑原が捕まった。先頭マギーの左中間二塁打から一死1・2塁となり、8番 小林にスライダーを狙い撃ちされて中前適時安打を食らう。5対4と巨人が、このシリーズ初めてリードを奪った。

逆転した巨人は8回表 10年ぶり日本球界復帰の上原が登板。阪神の若手を3者凡退に斬って取る。阪神も藤川投入で対抗するが、この日大当りの岡本にフォークボールを捉えられ左中間スタンド上段へダメ押し1号3ランを打ち込まれ、勝負は決した。巨人に8対4で敗れた阪神。序盤は開幕戦の勢いのまま優位に立つ展開だったが、後半はリリーフ陣が打ち込まれて惜しい星を落とした。

自らの投球で、勝利を逃した藤浪晋太郎投手は、反省の気持ちを込めて次のように話した。「5回が良かったからこそ、6回は力んだと言うか、欲が出たと言うか?…。イイ悪いが、はっきりしている。良いボールがあったのに、それだけに悔しい。(真っ直ぐは)ストライクゾーンで勝負出来ていた。考え過ぎず、力んだりしない事が次への課題だと思う」。

「難しかったね、代え時が。何とか凌いだりだとか、5回が良かっただけに。かなり迷ったんだけどね」。金本知憲監督は、藤浪について訊かれると何度も首を捻った。「やっぱりチームを背負って貰わないと困る投手やったから。本当に迷ったんだけど、結果的にあの回崩れた訳ですからね。判断ミスと言われても仕方がないと思う」。

上位起用の上本が3安打を放つなど連日繋がった打線ではあるが、「出来れば追いつかれても、そこから跳ね返す力が欲しかったけど」と、指揮官は まだまだ高みを求める。これで開幕シリーズは1勝1敗となった。「勿論明日も…!勝ち越しかかってますから」。忸怩たる思いを振り切るように次戦必勝へと意識を集中していた。