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マツダの鬼だ!西 粘りの7勝目

序盤に打線が繋がって主導権を握った阪神が、広島の反撃を先発右腕が粘り強く凌いで逃げ切った。

今季2度目先発となる広島・薮田に対する阪神は、3戦連続で同じ打線を組んで臨む。初回先頭・木浪は粘りに粘って14球目を中前安打。一死後 3番 福留が右越え適時二塁打を放ち、阪神が鮮やかに先制した。福留孝介外野手が話す。「打ったのはストレート。木浪が良い形で塁に出たので、チャンスを広げようと思っていた。初回から先制出来て良かった」。

2回表には大山・四球と梅野・左前安打。下位でお膳立てした二死1・2塁から1番 木浪の右適時二塁打で、阪神が2対0とする。「打ったのはカーブ。昨日打てなかった悔しさがあったので、絶対にやり返してやろうと思っていた」。前夜 球団新人歴代単独1位となる14試合連続安打を逃した悔しさをこの一打に繋げたドラフト3位 木浪聖也内野手のコメントである。

3回表 阪神は福留・四球、マルテのヒットなどで一死1・3塁として6番 高山がライトスタンドへ3号3ランを放り込む。「打ったのはストレート。チャンスだったので何とか走者を還したいと思っていた。積極的にスイングしにいった結果、甘い球を逃さずに打つ事が出来た」。高山 俊外野手は本塁打の感触を振り返っている。更に梅野の二塁打などで二死満塁として、2番 近本が回の途中で代わった中田から中前2点適時安打を放ち、阪神が7対0と大差をつけた。広島・薮田は2回1/3(73球)で交代。6安打 1三振 3四球 6失点だった。

阪神は、今季マツダでは2勝無敗の西が先発。広島は4番以下を松山・長野・安部・會澤・小園と前夜からはガラリと変えて来た。初回3者凡退でスタートした西は2回裏 先頭・松山にヒットを許すが、次の長野を遊ゴロ併殺に打ち取るなど、この回も無失点で切り抜ける。3回裏 先頭8番 小園に右中間へ3号ソロ本塁打を浴びて、序盤は1失点で滑り出した。

4回裏 広島は先頭・鈴木の右前安打から一死2塁として5番 長野の左前適時安打で加点。続く5回裏 小園と代打・坂倉の連打で無死1・2塁とまたピンチを背負った西だが、ここは1番 西川を二ゴロ併殺に取って事なきを得た。

その後 8回裏には西川・菊池涼の連打で無死1・2塁とされ、鈴木は遊ゴロ併殺に打ち取るも4番 松山にライト線適時二塁打を浴びて3点目を献上する。それでもビッグイニングでの失点もなく要所で3併殺を取るなど勝てるピッチングを貫徹。8回(102球)を投げ切り、11安打を浴びながらも 1三振 無四球 3失点とまとめてみせた。

9回表 阪神は二死満塁と広島 人目・遠藤を追い詰めるも、代打・鳥谷の打球がセンター西川が好捕されて惜しくもダメを押す事は出来なかったが、その裏を守護神・藤川が余裕を持って抑え7対3で阪神が勝利を収めている。西が勝って7勝8敗となった。

「チームが昨日負けてる分、CSかかってる試合なので、一戦も負けられないという戦いで、何とか勝つ事が出来て良かった」。ヒーローインタビューは、マツダスタジアムで今季3勝となった西 勇輝投手。「(味方の援護があったが)ホントに大量点取ってもらって投げる事が凄く難しくて。何とか1人1人と考えながら、勝つピッチングが出来て良かったなと思う。本当に守備が良くてリズム良く投げる事が出来て、長いイニングを無事いける事が出来た」と振り返る。

矢野燿大監督も「西は三振をバタバタ取るようなタイプじゃない。ああいう風に併殺を取って凌いで行くのがスタイル。良い時の内容だった。粘り強く打者を上手く打ち取って行ってくれてたよ」と右腕を讃える。打線では初回先頭・木浪が14球投げさせて出塁した事を高く評価。「あれはバッテリーにとっては嫌。その後もウチらしく繋いで点を取る野球は出来たけど、まだ入るところで取れない気持ち悪さは残る。(高山は3ランを打ったけど)あの一本だけ。俊に関しては、もっと上を目指して欲しいので」要求水準も高くなる。

負ければ自力でのCS進出の可能性が消えていたが、これで3位広島との差は再び2・5ゲームと縮まった。それでも苦しい立場である事は変わらない。「明日は、もう勝つしかないんで。ウチらしく全員で戦って行きます!」。指揮官はもう一度、兜の緒を締めていた。