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復帰・高山 意地のマルチ

先発左腕の誤算から主導権を奪われた阪神が、必死の追い上げもDeNAの細かい投手リレーに目先を変えられて届かず、カード初戦に敗れた。
     
猛虎9連戦最後の相手は、今月絶好調の横浜DeNA。ローテーションの谷間に武藤を5年ぶり先発に指名したDeNAラミレス監督に対して、阪神は3試合ぶりサンズ・大山・ボーアのクリーンアップ。この日再昇格・高山を7番に据える。メジャーでいうところのオープナーの役割を担う武藤だが、初回は3者凡退で立ち上がった。

阪神先発は左腕・岩貞。DeNAは今季初めて外国人を全てスタメンから外し、宮崎・佐野・中井でクリーンアップを組み、6番に前夜満塁アーチの倉本を置いて臨む。岩貞は初回二死から宮崎にヒットを許すが、4番 佐野をスライダーで空振り三振に取り無失点でスタートした。

阪神は2回表 先頭・大山がスライダーを逆方向へ運んでライトへ3試合連続アーチとなる11号ソロ本塁打を放ち先制する。その後 梅野・高山の連打で一死1・2塁とするも、植田・岩貞は打ち取られた。その裏 岩貞は、サード大山の失策と倉本・右中間二塁打で無死2・3塁とピンチを招き、一死後8番 大和に中前適時安打を浴びて同点とされる。

武藤は3回(45球)を投げて3安打2三振 無四球 無失点と『ブルペンデー』先発の役割をしっかり果たして2人目・国吉に繋ぐ。4回表を国吉が3者凡退に抑えたその裏。DeNAは倉本・四球と大和の中前安打で一死1・2塁とする。ここで9番 国吉が、岩貞の真っ直ぐを弾き返して右中間を破る2点適時二塁打を放って DeNAが3対1とリードを奪った。国吉は2013年以来の打点。岩貞にとっては、相手投手に勝ち越し打を許す屈辱だ。この一撃で阪神がすっかり後手に回った。岩貞は僅か4回(73球)で降板。6安打4三振1四球3失点の苦い夜である。

5回表 一死1塁で岩貞に回ると阪神ベンチは代打・陽川を起用。陽川はニゴロ併殺打に倒れて、代打策は不発に終わる。その裏2人目・望月が登板したが、一死後4番 佐野に初球真っ直ぐを捉えられてバックスクリーン左への8号ソロ本塁打。ここまで8試合無失点登板だった望月が今季初失点を喫する。この後連打と四球で一死満塁となって8番 大和に粘られた末に押し出し四球を与え、更に失点。5対1と差を広げられてしまった。

6回表 阪神は近本・左前安打と四球の無死1・2塁からサンズ・大山の連続適時安打で2点を返す。ボーアがニゴロ併殺打に倒れた二死3塁で、DeNAベンチは国吉から藤岡へスイッチ。今季初登板の右腕は、梅野をスライダーで空振り三振に斬って更なる失点を防いでいる。阪神がつけ込めるとすれば、この回だっただろう。

7回表 DeNAは必勝リレーへ。4人目・山崎康に対して阪神は、先頭・高山が外角ポール気味の球をレフト線へ弾き返す天才的打撃で二塁打を放ち出塁する。植田が送った一死3塁で好調の代打・中谷はニゴロに倒れるも、走者・高山が生還。1点差に迫った。阪神救援陣も6回裏を能見、7回裏は馬場がゼロに抑えて望みを繋ぐ。

DeNA5人目パットンに3人で抑えられた阪神は、その裏ベテラン・藤川をマウンドへ送るが、一死で梶谷を歩かせ盗塁を決められた後 二死3塁から3番 宮崎に中前適時安打を喰らい、6対4と突き放されてしまった。9回表 阪神は先頭・ボーアがハマの新守護神・三嶋から右中間安打を放つが、続く梅野が遊ゴロ併殺打。高山もニゴロに倒れて2点差届かず、DeNAに競り負けた。

DeNAはブルペンデーを白星で飾って3連勝。試合のなかった首位巨人に2ゲーム差に迫っている。阪神は先発・武藤を崩せず、逆に岩貞が相手投手に勝ち越し打を浴びる展開となって後手に回った。後半追い上げたものの、拙いゲーム運びが仇となり、3カード連続初戦に痛い星を落としている。その中で明るい材料を探すなら、一軍復帰でマルチ安打を放ち存在感を示した高山だろう。この夏 福留・糸井らベテラン陣が不調なだけに、今こそ本来の輝きを取り戻して欲しい。