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狩野の一撃でヤクルトに7連勝

関本がいなくても、狩野がいる。代打打率は25打数8安打の.320。驚異的な数字だ。

福留のソロホームランで同点に追い付いた6回。一死満塁のチャンスに鶴岡の代打で登場し、前進守備の右翼手の頭上を越える2点適時二塁打を放った。

「越えるとは正直、思っていなかったんですけど、外野が前に来ていたので、犠牲フライにはなるかなと」

同じタイミングでヤクルトが投手交代をしようとしたため、微妙な“間(ま)”が空いたが、15年目のベテランは「気にならなかった」とサラリ。2番手・秋吉はサイドスローのため、すくい上げないように心掛けたと言う。

「前に対戦したとき三振した。引っ張りに行くと引っ掛けるし、スライダーがいいので空振りもある。上からかぶせていくイメージで打ちました」

関本が左脇腹を痛めて6月2日に登録抹消されて以来、狩野の出番は“チャンスメーク”より“試合を決める”場面が多くなった。

「いい場面で使ってもらっていますけど、準備は変わらない。打ってやろうという気持ちはもちろん強いですけど、しっかり準備して、しっかり頭を整理して行くようにしています。レギュラーの方はずっと試合に出てしんどい思いをしている。僕ら代打はその場面だけ。あっさり三振するわけにはいかないので、食らい付いて行こうという思いは強いです」

かつては「次代の正捕手」と言われていた。しかし、腰のヘルニアを患い、また、城島健司の加入などもあって、外野手登録に。その後も繰り返し腰痛に悩まされ、12年オフには育成契約となった。それでも、あきらめることなくリハビリと練習に励み、13年7月に支配下登録。気が付けば、チームの中でもベテランの部類に入っていた。

「本当の意味で開幕を目指してキャンプを送れたのは、今年が初めてだったかもしれない」と話す今季、一軍昇格は4月4日だったが、以来、一度も登録を外れることなく、存在感を示している。

「あのポジションは簡単じゃないんだけど、代打でメシを食って行くんだという気持ちが出ているし、その気持ちがだんだん強くなっている」

和田監督もその“気”を改めて評価したが、本人は代打に甘んじるつもりはない。代打打率が3割を超えていることについても、「シーズンはまだ終わっていませんから」と表情を引き締めた。