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藤浪 耐えて9勝!首位浮上
ルーキー江越の走攻守に渡る活躍が隠し味となり、序盤の好機を最大限に生かした阪神がそのまま押し切った。
1番 鳥谷・3番 福留と打順を戻した阪神は初回 横浜DeNA先発・高崎に対して(大和の犠打を挟み)この2人のヒットで一死1・3塁のチャンスを作る。ゴメスは速球に詰まり中飛に倒れるが、5番マートンがしぶとく適時内野安打を放ち、阪神が5試合連続の先取点を上げた。
阪神先発は、前回KOから中7日開けた藤浪。いきなりDeNA1番 乙坂を歩かせる立ち上がりからニ死2塁となり、4番 筒香に中前適時安打を許した後、続くロペスには中越え適時二塁打を浴びて、2対1とたちまち逆転されてしまう。更に宮崎も中前安打を放つが、センター江越の好返球で3点目は阻止した。
2回表 阪神は今成・江越の長短打に8番 鶴岡の適時内野安打ですぐに追いつく。更に一死2・3塁から鳥谷の一ゴロ(ロペスの野選)で勝ち越し、大和の左前適時安打にゴメスの中犠飛で5対2とする。この中では一塁手の野選を誘う好走塁を見せた3塁走塁・江越の働きを忘れてはいけない。捕手のタッチを掻い潜る見事なスライディングがビッグイニングを呼んだと言えよう。高崎は2回(54球)7安打0三振1四球5失点で降板している。
同点打の鶴岡一成捕手は次のように話した。「逆転された直後だったので、何とか走者を還すことが出来て良かった。(三遊間の)良い所に飛んでくれた」。また、4点目の適時安打・大和(前田大和)外野手が「打ったのはストレート。何とかもう一点という気持ちで打席に入った。晋太郎を援護することが出来て良かった」と言えば、「みんなが繋いでくれたチャンスに最低限の仕事は出来て良かったよ」と4試合連続打点のマウロ・ゴメス内野手もフォア・ザ・チームを強調している。
援護してもらった藤浪だが、序盤はまだまだ不安定。3回裏には梶谷・筒香の連打や宮崎への死球で二死満塁となる。ここは7番バルディリスを外角カットボールで空振り三振に仕留めて難を逃れたが、4回で81球を費やすなど思うような投球とは言い難い。中西清起投手コーチによると「フォームに間がない」為、ボール先行が目立つバラバラな制球になってしまったが、逆にDeNA打線からすれば 掴み所のない厄介な相手だったのかも知れない。 藤浪は7回(123球)まで投げて、6安打10三振4四死球2失点だった。
DeNAは3回から登板した2人目・高橋尚成投手が百戦錬磨のベテランらしく緩急自在な投球で3イニングを無失点に抑えて試合を締めた。3番手・大原の1イニングを挟み、2年目・三上が今季初登板となった7回表 。阪神はゴメス・マートンの何れもラッキーな長短打で一死2・3塁とするが、6番 今成が打った飛球をレフト筒香が地上スレスレで捕球すると、走者ゴメスはタッチアップせずに本塁を駆け抜けた。アピールプレーの末に併殺となったが、このプレーは試合の流れを変えかねない重大なミスであったと指摘しておきたい。
阪神は8回から必勝継投に入る。福原は二死後、四球とバルディリスの左二塁打で2・3塁とされるが、8番 嶺井は空振り三振に仕留めた。最後は呉 昇桓が僅か6球でピシャリと締めて31セーブをマーク。阪神が5対2で前夜の雪辱を遂げた。
「自分自身 バランスが合わない中で、何とか鶴岡さんにリードしてもらったり、野手の皆さんも良く守ってくれた。(苦しい投球ながらも)上から叩く意識と、変化球が良かったので鶴岡さんが上手く使ってくれて、それで何とか誤魔化す事が出来た。苦しい時に何とか粘れたのは良かったけど、立ち上がりが良くなかったので・・・」。9勝目をあげた藤浪晋太郎投手だが、ヒーローインタビューでは反省コメントが止まらない。デーゲームで巨人が敗れたため7月31日以来の首位浮上となった阪神だが、「首位浮上と言っても、油断出来る状況ではないので、目の前の一試合一試合をしっかり頑張れれば・・・」と浮かれる様子はなかった。
「(藤浪は)序盤バラつきがあった。3回以降は(まるで)変化球投手。鶴岡のリードもあったけど、悪かったら悪かったなりに投げられるようにはなったのかな?」。和田 豊監督も新エースに少し辛口だった。「(4点取った2回の攻撃では)江越の走塁が大きかった!」とルーキーを讃えた指揮官だが、「ヒットの数と得点の数がどうしても合わない!」と4試合連続2ケタとなる13安打も中盤以降追加点が取れない相変わらずの拙攻振りを問題視。首位浮上にも「周りの状況はわからない」として、現状打開へ辛抱強く取り組んで行く姿勢を継続する。