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勝ちたい一心!

打線改造のカンフル剤と中継ぎ投手陣の頑張りが、猛虎に執念の勝利を呼び込んだ。

極度の貧打に苦しむ阪神は、今季初めて1番 上本・2番 西岡の並びを選択。7番には伊藤隼がスタメン起用された。中日先発・山井に対して初回 新打線が牙を剥く。上本・西岡の連打と四球の無死満塁からゴメス・マートン・福留の3者連続適時安打。一死後、梅野・遊ゴロの間に1点を追加し、4点を先取する。
先制打のマウロ・ゴメス内野手が「打ったのはスライダー。いつも心掛けていることだけど、自分の打てる球を打とうと思っていた。チャンスで走者を還すという、自分の仕事を果たせてよかったよ」と言えば、やはりスライダーを仕留めたマット・マートン外野手は「外寄りのボールに対して、逆らわずに打ち返せた。僕より前の打者がみんな打っていたし、自分も続けてヒットを打ててよかったよ」と笑顔を見せた。福留孝介外野手も「打ったのはシュート。前の打者に続いていこうと、それだけを考えていた」と 3点目の適時打を振り返っている。

いきなりリードをもらって登板した阪神先発・岩崎だが、2回 先頭ルナを歩かせた直後、5番 福田に初球を狙われレフトへ特大の4号2ランを浴びる。4回には福田・エルナンデスの連打から一死満塁となり、9番投手の山井にストレートの押し出し四球。大島にも一ニ塁間突破適時安打を浴びて、たちまち追いつかれてしまった。3回1/3(65球)6安打3三振3四球4失点KO。決して守りに入った訳ではないだろうが、岩崎 優投手は「初回から4点の援護をもらったのに、そのリードを守りきることができず、野手の方に申し訳ない」と項垂れていた。

それでも、リリーフした金田が荒木・平田を抑えて追加点を阻止。5回も無失点で踏ん張ると、阪神は6回表 梅野のヒットを足掛かりに二死2塁として、山井の初球を狙った2番 西岡の右前適時安打で再び1点を勝ち越した。「勝ちたいという一心」で打ったと言う西岡 剛内野手のコメントが、この試合に懸けるチーム全体の思いを表している。

リードした阪神は6回島本、7回安藤と繋ぐ。中日3番手・田島が登板した8回表には二死1・3塁から3番 鳥谷の適時内野安打で1点を追加。差を2点とした阪神は、その裏を福原、最後は呉 昇桓と盤石のリレーで付け入る隙を与えず、6対4で逃げ切った。

苦しみながらも連敗を止めた和田 豊監督は、打線変更について「上本は(打撃上昇の)兆しがあったので、動きを多くする為に」1番で起用した事を明らかにした。「下位で梅野が当たってきたので、全体の流れが良くなったネ」と話した。

ヒーローインタビューで勝ち越し打の西岡は、「今日は2番だったので、今までと違うカタチでチームに貢献しようと打席に立った。毎試合勝ちたいけど、勝てないのが現状。何とか早く波に乗りたい」と切実な思いで答えている。

初回の集中攻撃に始まり、プロ初猛打賞・梅野らの活躍で今季最多13安打の打線もさることながら、同点とされた後の一死満塁を抑えた金田から島本~安藤~福原と中継ぎ投手陣が踏ん張ったのが最大の勝因と言えるだろう。金田についた今季初勝利は、チームを救う価値ある1勝となった。